
メルカリ、商品検索AIを自社開発 オープン型モデルで外部依存を回避
メルカリの山田進太郎社長は、日本経済新聞の取材に応じ、商品の検索やレコメンドに用いる生成AIモデルを自社開発する方針を明らかにした。2027年6月期の実用化を目指す。サービスの使い勝手を高めるとともに、AIの利用コストや特定モデルへの依存が強まるリスクに備える狙いがある。
オープン型モデルと40億件超のデータで独自開発
独自モデルは、改変や利用のハードルが低い「オープン型」と呼ばれるAIを土台にする方針だ。ChatGPTやClaudeのようにAPI経由でしか使えない「クローズド型」のモデルとは異なり、オープン型はモデルの中身(パラメータ)が公開されており、企業が自社でダウンロードして改変・運用できる点が特徴だ。40億件を上回るメルカリの取引データを組み合わせて開発し、キーワードの一致に頼る従来型の検索では見つけにくかった商品も探しやすくすることを狙う。開発は経済産業省などの支援を受けて始まっており、今年6月に経済産業省とNEDOによる生成AI基盤モデル開発支援プロジェクト「GENIAC」に採択された取り組みと同じ枠組みとみられる。GENIACは、生成AIの基盤モデル開発に取り組む国内事業者を対象に、計算資源の利用にかかる費用などを支援する2024年開始の政府プロジェクトで、経済産業省とNEDOが共同で運営している。山田氏は「研究の成果を踏まえ、27年6月期にも一部を実用化したい」と述べた。
コスト増と依存リスクへの備えが自社開発の背景に
自社開発を進める背景には、AI活用の拡大に伴うコスト増と、モデル選択の重要性の高まりがある。米マッキンゼー・アンド・カンパニーが5月に実施した調査では、回答企業の90%超が「AIの利用料が予算を超過している」と答えたという。メルカリ自身も2026年6月期、ソースコードの生成などでAIの利用を広げてきた。
さらに、6月には米政府が最新のAIモデルの海外提供を規制する動きを見せ、特定モデルへの依存に伴うリスクを浮き彫りにした。オープン型を含め選択できるモデルが増えるなか、サービスの反応速度など性能に直結する要素も踏まえてどのモデルを使うかが重要になっているという。
生成AIモデルの開発競争が激しさを増すなか、外部プロバイダーへの依存を抑えつつ自社サービスに最適化したモデルを持てるかどうかは、コマース各社に共通する課題になりつつある。メルカリの取り組みが実際にどこまで検索体験の改善やコスト抑制につながるか、27年6月期に向けた進捗が注目される。
情報源:
- メルカリ、商品検索のAIモデルを自前開発 山田社長「利用コスト抑制」(日本経済新聞、2026年8月21日、会員限定記事)
- メルカリ、経済産業省およびNEDOによる生成AI基盤モデル開発支援プロジェクト「GENIAC」に採択(株式会社メルカリ、2026年6月4日)
- 「GENIAC」における計算資源の提供支援(第4期)において、AI基盤モデル開発テーマ計16件を採択しました(経済産業省、2026年6月4日)
観察日:2026-08-22|Commerce × AI Observatory
