
AI検索、「引用」と「推薦」は別物 カギは第三者の評判
生成AI(人工知能)による検索が広がるなか、企業の間では「AIにどう対応するか」への関心が高まっている。もっとも、AI検索対策(AIOやGEOなどと呼ばれる)のベストプラクティスは業界内でもまだ定まっておらず、論者によって解釈が分かれる発展途上の分野でもある。そうしたなか、AIに自社の情報が「引用」されることと、AIから自社や商品・サービスが「推薦」されることは、まったく別の話だという指摘がある。両者を混同すると、対策の方向性を見誤りかねない。
「引用」と「推薦」は別物
Googleは、AI Overview(AIによる概要)やAIモードなど自社検索の生成AI機能向けにサイトを最適化するための公式ガイドを公開し、随時更新している。ガイドの内容は、従来のSEO(検索エンジン最適化)のベストプラクティスがAI検索機能に対しても引き続き有効であるとし、価値ある独自コンテンツの作成を勧める一方、AI機能向けの特別な対策は不要だとしている。
ただし、このガイドが扱っているのは、あくまで自社サイトがAIの回答の情報源として「引用」される確率を高める方法だ。企業が本来望んでいるのは、AIの回答のなかで自社や自社ブランド、商品・サービスそのものが名指しで「推薦」されることであり、両者は異なる機序で決まる。単に情報源として引用されるだけでは、ブランドの露出やサイトへのアクセス増加には直結しにくい。
この違いを示す例として、公式サイトを持たない対象がAIに推薦されるケースがある。登山初心者向けの山を尋ねると、高尾山や日和田山、筑波山といった、運営主体による公式サイトが存在しない山がいくつも推薦される。これは、多くの登山愛好家や旅行会社、自治体・観光協会などが「初心者向けの山」として情報発信しているためだ。同様に、船釣りで狙う魚についても、公式サイトを持たないタチウオやカワハギなどが、釣り愛好家や釣り船事業者、専門メディアの発信をもとに推薦される。
推薦を左右するのは外部の第三者評価
AIが推薦の対象を選ぶ際に重視するのは、実際の利用者による口コミや、専門家・愛好家によるレビュー、報道といった外部の第三者による評判情報だ。自社が発信する宣伝文句や「役立つコンテンツ」そのものは、推薦の決め手にはなりにくい。飲食店や理美容店などでは、公式サイトを持たず自ら情報発信をしていない店舗であっても、良い評判に支えられて推薦されることは珍しくないという。
このため、AIに推薦されるための取り組みは、外部への情報発信を代行・納品する形で支援会社に委託しにくい性質を持つ。好意的な口コミや報道を人為的に量産しようとすれば、捏造されたレビューや、金銭を払って第三者による紹介であるかのように見せかけた記事など、景品表示法に抵触しうるステルスマーケティングに近づくリスクがある。摘発や行政指導のリスクに加え、消費者に発覚した場合のブランドへの打撃も大きい。商品・サービスの品質や、営業・接客の質、広報活動といった日々の業務の積み重ねこそが、AIに推薦されるかどうかを左右する。
生成AI検索の普及とともに、企業のAI対策を巡っては様々な用語や手法が飛び交っている。しかし「引用」対策と「推薦」対策は別物であり、後者には近道がないという点は、AI時代のブランド戦略を考えるうえで押さえておきたい基本といえそうだ。
情報源:
- AI検索時代のSEO、カギは第三者評価 Google公式ガイドでは触れず(日本経済新聞、著者:ボーディー住太陽、2026年8月23日、会員限定記事。日経クロストレンド2026年7月28日の記事を再構成)
- AI features and your website(Google Search Central)
観察日:2026-08-23|Commerce × AI Observatory
