
NEC、業務自動化AI『cotomi Agent』をMicrosoft Marketplaceで販売
NECは8月18日、独自のエージェント技術「cotomi Act」を用いた業務自動化AIエージェント「NEC cotomi Agent」を、Microsoft Marketplaceを通じて販売開始したと発表した。実際の業務システムやブラウザを自動操作してタスクそのものを代行するエージェントで、従来のSI(システムインテグレーション)型の提供モデルに加え、クラウドマーケットプレイス経由の販売チャネルを持つのはNECにとって初めての試みだという。
cotomi AgentとMicrosoft Marketplaceでの販売開始
cotomi Agentは、業務システムやブラウザを自動操作してタスクを実行する業務自動化エージェントだ。料金は1ユーザーあたり月額1万5000円(税別)に加え、専用テナントの利用料がかかる。まずは日本国内で展開し、将来的にはグローバル展開も視野に入れているという。
これまでNECのAI関連ソリューションは、個別の要件に合わせて構築するSI型の提供が中心だった。今回、Microsoft Marketplaceというクラウド型の販売サイトを通じた流通チャネルを新たに持つことで、SIによる個別提案を経ずに導入を検討できる購入経路を用意した形になる。
「暗黙知」をデータ化するcotomi Actの技術
cotomi Agentの基盤となる「cotomi Act」は、ブラウザ上の操作やログといった行動履歴を自動的に抽出・データ化し、個人が持つ暗黙知を組織の資産として蓄積・活用できるようにする技術だ。単にタスクを代行するだけでなく、業務に習熟した個人のやり方をデータとして残し、組織全体で再利用できるようにする狙いがある。
NECはこの技術の開発背景として、少子高齢化に伴う労働人口の減少を挙げている。生産性向上のためにAI活用が求められる一方、現場に根付いた暗黙知の多くは体系化・データ化が進んでおらず、共有や継承が難しいのが実情だという。高度な専門業務を効率化・自動化するには、業務の手順だけでなく、判断の背景や企業文化まで含めた全体像の理解が欠かせないが、従来の一般的なAIエージェントはこうした暗黙知や業務の文脈に十分対応できず、精度や柔軟性に課題があったとしている。そこでNECは、デジタル業務の起点となるWebブラウザ上での業務行動に着目し、長年の経験や試行錯誤によって培われた個人の直感やノウハウまでをデータとして取り込むことで、これまで自動化が難しかった複雑で専門性の高い業務の高度化・自動化を目指しているという。
NECは2025年8月にcotomi Actを発表した際、Web業務の自動化に関する国際的なベンチマーク「WebArena」において80.4%のタスク成功率を達成し、人間の成功率(78.2%)を上回ったとしている。WebArenaは、米カーネギーメロン大学の研究者らが2023年に開発したベンチマークで、実際のECサイトやフォーラム、コード管理サイトなどを模した環境のなかでAIエージェントに商品購入や情報検索といったタスクを与え、自律的に完遂できるかを評価する仕組みだ。AIエージェントの実用性を測る指標として研究分野で広く参照されている。この実績についてNECは「世界初」の人間超えだとしている。
企業向けの業務自動化AIエージェントが各社から相次いで登場するなか、技術そのものの性能に加えて、SI型の個別提案かクラウドマーケットプレイス経由の購入かといった販売チャネルの違いも、今後の普及を左右する要素になりそうだ。
情報源:
- NEC、Microsoft Marketplaceで業務自動化AIエージェント「NEC cotomi Agent」を販売開始(NECプレスリリース、2026年8月18日)
- NEC、Microsoft Marketplaceで業務自動化AIエージェント「NEC cotomi Agent」を販売開始(AI Watch、2026年8月)
- NEC、暗黙知をデータ化し学習・活用することでWeb業務を自動化するエージェント技術「cotomi Act」を開発(NECプレスリリース、2025年8月27日)
観察日:2026-08-26|Commerce × AI Observatory
