Commerce × AI Observatory
米国の記事一覧へ
米国
AIが友人・家族に迫る信頼を獲得 買い物の「相談相手」としての存在感

AIが友人・家族に迫る信頼を獲得 買い物の「相談相手」としての存在感

#AIショッピング#消費者調査#エージェント型コマース

広告テクノロジー企業RTB Houseが2026年8月10日に発表した調査で、AIツールが買い物における信頼できる情報源として、ソーシャルメディアや従来型メディアを上回りつつあることが分かった。一方で、実際の購入を任せきるところまでは、まだ多くの回答者が慎重な姿勢を崩していない。

AIが「相談相手」としての地位を築きつつある

RTB Houseの調査「誰が買うのか?エージェント型AI時代における消費者の信頼」は、2026年6月〜7月に米国・英国・フランス・日本の回答者1,840人を対象に実施された。

この調査で目を引くのは、買い物の意思決定における「信頼できる情報源」の顔ぶれが入れ替わりつつあるという結果だ。友人・家族の意見を信頼する回答者は依然として最も多いものの、AIツールへの信頼は、インフルエンサーや新聞、主要メディア、TikTok、Instagramといった従来の情報源をすでに上回っている。ここ10年ほどのEC成長を支えてきた「ソーシャルフィード上での消費者の関心の奪い合い」という構図が終わりを迎えつつある、とRTB House側は位置づけている。AIツールの中でも、Google AI OverviewsとChatGPTが最も信頼されているという結果も出ている。

使われ方の中心は「比較・調査」

回答者の多くは、AIツールを価格・ブランド・モデル・レビューの比較といった、購入前の調査段階で活用している。AIプラットフォーム経由で、それまで知らなかったブランドを知ることができたという回答も一定数あり、AIが新しいブランドとの出会いの入り口としても機能し始めている様子がうかがえる。

一方で、選択肢が増えすぎることで、かえって最終的な購入判断までの時間が延びるという声もある。AIが提示する選択肢の多さが、消費者の比較検討をより丁寧なもの(あるいは長引くもの)に変えている、という傾向だ。

「購入」を任せきるにはまだ慎重

AIへの信頼は、決済に近づくほど慎重になる傾向も見られた。世代を問わず一定数の回答者が、AIエージェントが実際に購入を完了する前には、人間による確認を挟みたいと回答しており、特にベビーブーマー世代でその傾向が強い。返品保証などの安全網が用意されている場合に限り、小額の買い物であればAIエージェントに委ねても良い、という条件付きの許容も見られた。

まとめ

今回の調査結果を一言でまとめると、AIは「情報を集め、比較し、相談する相手」としての地位をすでに確立しつつあるが、「代わりに買い物を完了させる相手」としてはまだ発展途上、という段階にある。米McKinsey・ICSCは、米国のエージェント型コマース市場が2030年までに1兆ドル規模に達すると試算しているが、今回の調査結果を見る限り、そこに至るまでには「決済という最後の一線をどう越えるか」という、消費者の信頼構築の課題が残っていそうだ。

情報源:

観察日:2026-08-14|Commerce × AI Observatory