Commerce × AI Observatory
← 米国の記事一覧へ
米国
AnthropicとShopify、EC向けAIエージェント参照実装「Claude Commerce Agents」をオープンソース公開

AnthropicとShopify、EC向けAIエージェント参照実装「Claude Commerce Agents」をオープンソース公開

AnthropicShopify#エージェンティックコマース#オープンソース#AIエージェント#決済

Anthropicは9月2日、EC事業者向けのAIエージェントの参照実装「Claude Commerce Agents」を、オープンソースのApache 2.0ライセンスで公開した。ショッピングエージェントとマーチャントエージェントという2種類のAIエージェントの設計図を無償で提供する取り組みで、Shopifyが早速自社のストア向けに実装を公開するなど、具体的な動きも出ている。

2種類のエージェントが担うこと

「ショッピングエージェント」は消費者側の窓口となるエージェントで、商品カタログの検索や複数商品にまたがるリクエストへの対応、商品同士の比較表示、カートの構築、注文内容や返品ポリシーに関する問い合わせへの回答までを担う。

もう一つの「マーチャントエージェント」は店舗運営者向けで、売上状況に関する質問への回答、在庫状況の監視とアラート、販売実績に基づく価格・プロモーションの提案、マーケティング施策の草案作成を担う。ただし、マーチャントエージェントが提案する変更はすべて「保留中の変更」として扱われ、実際に反映される前に必ず人による承認を経る設計になっている。

この2種類のエージェントは、小売・旅行・通信・チケット販売事業の4業界それぞれを想定したデモとともに公開されており、Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundryのいずれのクラウド環境でも動かせるという。あわせて、新しいエージェントの雛形を作ったり既存のエージェントをレビューしたりできるClaude Codeのプラグインも提供されている。

決済の実行権限をAIに持たせない設計と、Shopifyでの実装

今回の設計で特徴的なのは、決済やチェックアウトの実行権限をAIエージェント自身には持たせていない点だ。公式のGitHubリポジトリには「AIエージェントが注文を確定させたり、カードに課金したり、実際の商品情報を書き換えたりすることは一切ない」との説明があり、ショッピングエージェントが担うのはカートを組み立てるところまでで、実際の決済はホスト側が用意した既存のチェックアウトの仕組みや、決済処理を専門に担うサービスに引き継がれる。VisaやMastercardも、決済そのものを実行する主体としてではなく、加盟店側の導入を後押しする統合パートナーとして関わっているとされている。

Shopifyはこの取り組みに呼応する形で、AnthropicのブループリントをもとにしたAIエージェントの実装例を自社のGitHubで公開した。実際のShopifyストアに対してショッピングエージェントを動かすものと、管理画面のAPIを通じてマーチャントエージェントを動かすものの2種類で、いずれもAnthropicが公開したブループリントをそのまま土台としているという。Anthropicの公式ブログでは、Shopifyの製品担当バイスプレジデントが「加盟店はClaudeを使って、顧客が商品を見つけたり、購入手続きを進めたり、注文について質問したりするのを助けるエージェントを構築できる」とコメントしている。

参照実装を無償で公開し、決済の実行権限は意図的に持たせないという今回の設計は、AIエージェントによる商取引がどこまで自動化され、どこから先は人や既存の決済網に委ねるべきかという線引きについて、一つの具体的な参考例を示したと言えそうだ。

情報源:

観察日:2026-09-07|Commerce × AI Observatory