
Instacart、小売向けホワイトラベルAI「Cart Assistant」と自社版「Clementine」を同時発表
Instacartは、米国内の多数のスーパーマーケットチェーンと提携し、それぞれの実店舗の在庫をアプリ上でまとめて注文でき、専属の配達員が配送やピックアップに対応する食料品宅配のプラットフォームだ。日本で言えば、実店舗の在庫をネットで注文して届けてもらう仕組みを、多数のチェーンを横断して一つのアプリで提供しているイメージに近い。同社は9月9日、他社の小売事業者が自社サイトやアプリにそのまま組み込めるホワイトラベルのAIアシスタント「Cart Assistant」と、自社のプラットフォーム向けAIアシスタント「Clementine」を同時に発表した。あわせて、Anthropic、OpenAI、Googleとの提携も明らかになり、それぞれのAIサービス上で始まった食料品に関する会話を、そのままInstacartでの注文につなげる仕組みが構築された。
小売各社が導入するホワイトラベル版「Cart Assistant」
Cart Assistantは、Instacartが蓄積してきた注文データや商品カタログ、リアルタイムの在庫情報と、各小売事業者が持つ商品カタログや顧客データを組み合わせ、その小売のブランドを冠したAIアシスタントとして提供する仕組みだ。自然言語での注文リクエストへの対応や、個人に合わせたレシピの提案、手書きリストや写真からの買い物リスト作成といった機能を備えるという。
地域に根ざしたスーパーマーケットチェーン3社では既に稼働を始めており、大手ディスカウントチェーンを含むスーパーマーケットチェーン4社が導入を予定している。各小売のCart Assistantは在庫やロイヤルティプログラムのデータには連携先の小売のデータをリアルタイムで参照できる一方、チャット履歴や注文履歴はその小売のサイト内にとどまり、Instacartのマーケットプレイス側とは共有されない設計になっているという。
Anthropic・OpenAI・Googleとの提携で購入までの導線を構築
Instacartは同日、米国とカナダの利用者向けに、会話形式のリクエストを個別化された買い物カートに変換する自社版アシスタント「Clementine」も発表した。公式プレスリリースでは、Anthropic、OpenAI、Googleとの提携について「ClaudeやChatGPT、Gemini、あるいはGoogle検索のAIモードで始まった食料品に関する会話を、そのままInstacart上で完了できるようになり、利用者は好みの小売店から配送またはピックアップで注文できる」としている。主要な会話型AIの上で始まった食料品に関するやり取りが、そのままInstacart上での注文の完了に接続される仕組みが整ったことになる。
小売各社にAIアシスタントを行き渡らせるCart Assistantと、主要な会話型AIサービスからの導線を確保するClementine・3社連携は、対象がそれぞれ異なるものの、食料品という一つの商材をめぐって、どの入り口から会話が始まってもInstacartでの購入に行き着くようにするという狙いは共通している。エージェント型AIが商取引の入り口として定着していく過程で、こうした複数方向からの導線づくりが一つの型になっていくのか、注目される。
情報源:
- Instacart launches custom AI assistants for retailers, and its own(Modern Retail、2026年9月9日)
- Cart Assistant from Instacart(Instacart Enterprise Blog)
- Meet Clementine: Instacart's AI Shopping Assistant That Takes "What's for Dinner?" Off Your Plate(Instacart公式、2026年9月9日)
- Instacart and Shipt launch AI shopping assistants(Chain Store Age)
観察日:2026-09-11|Commerce × AI Observatory
