
Mastercard、加盟店とAIエージェントをつなぐ新プラットフォーム「Agent Connect」を発表
Mastercardは9月9日、加盟店とAIエージェント、デジタルプラットフォーム、決済プロバイダーを一つの統合ポイントでつなぐ新プラットフォーム「Agent Connect」を発表した。既存の加盟店向け機能「Agent Suite for Merchants」の更新とあわせての発表で、AIエージェントを通じた買い物が広がる中で、加盟店側の対応を後押しする狙いがある。
加盟店の情報公開とAgent Connectの仕組み
更新された「Agent Suite for Merchants」では、商品の詳細情報や価格、在庫状況、配送オプションといった加盟店側のデータを、複数のAIモデルやプラットフォーム、エージェントのやり取り全体に公開できるようになった。その際、この情報がどのように使われ、どう表示されるかについては、加盟店側がコントロールを保持できるという。
新たに導入された「Agent Connect」は、加盟店・AIエージェント・デジタルプラットフォーム・決済プロバイダーが単一の統合を通じて接続し、取引できる仕組みだ。商品発見からカートの組み立て、消費者が承認した取引の完了までを支援するという。これは、AIエージェント向けの決済許可・トークン化基盤である既存の「Agent Pay」と組み合わせて使う設計になっており、加盟店が独自の決済インフラを新たに構築しなくても、AIエージェントが起点となる取引に対応できるようにすることを目的としている。
加盟店側に根強い、価格決定を委ねることへの抵抗感
一方で、加盟店の間には、AIエージェントにどの機能までなら任せられるかについて温度差があることも、あわせて紹介されたPYMNTS Intelligenceの調査から見えてくる。商品の検索・比較への投資は1年以内に行うと答えた加盟店が31%、消費者に代わって決済まで完了させる機能への投資を予定する加盟店も26%に上った一方、複数の加盟店をまたぐ商品の組み合わせや、人手を介さない自律的な決済、トラブル対応といった機能については、ほぼ半数の加盟店が「後回し、あるいは対応しない」に分類したという。そして、価格設定や消費者が最終的に支払う金額を決める機能については、AIエージェントに委ねることに最も抵抗があると回答した加盟店が46%に上り、調査対象の機能の中で最も拒否感が強い項目だったという。
商品の検索・比較や決済の完了といった機能ではAIエージェントの活用に前向きな加盟店が一定数いる一方で、価格や最終的な支払い金額の決定という商売の根幹に関わる部分については、なお強くコントロールを手放したがらない加盟店が多い実情がうかがえる。Agent ConnectのようなインフラがAIエージェント経由の取引を技術的に容易にしていく中で、こうした加盟店側の抵抗感がどこまで和らいでいくのかが、今後の焦点になりそうだ。
情報源:
- Mastercard Expands Agentic Suite to Help Merchants Scale AI Shopping(PYMNTS、2026年9月9日)
- Mastercard upgrades Agent Suite for Merchants and launches Agent Connect for AI commerce(Fintech Garden、2026年9月9日)
観察日:2026-09-12|Commerce × AI Observatory
