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Visa・Mastercard・Ant International、AIエージェント決済の相互運用フレームワーク「KYA」構築で合意

Visa・Mastercard・Ant International、AIエージェント決済の相互運用フレームワーク「KYA」構築で合意

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Visa・Mastercard・Ant Internationalの3社は9月9日(米国時間、アジア圏では10日報道)、AIエージェントによる自動購買を識別・認証するための共通フレームワーク「Know-Your-Agent(KYA)」の構築に向けて協業すると発表した。各社がこれまで独自に運用してきたエージェント識別の仕組みについて、相互運用性を高める狙いがある。

3本柱で構成されるKYAフレームワーク

KYAフレームワークは3つの要素で構成される。一つ目は、決済ネットワークをまたいでエージェントを検証済みのオペレーター・カード会員・事業者・組織に紐付ける「トレーサビリティ」。二つ目は、エージェントを共通のセキュリティ・行動基準に照らして評価する「認証基準」で、各ネットワークが独自の判断権限を保ちながら統一的な検証を可能にする。三つ目は、本人確認情報と取引データを組み合わせて継続的にエージェントを評価し、認証状態を維持する「継続的評価」だ。これにより、決済ネットワークごとに重複していた検証プロセスの手間を減らし、エージェントのオンボーディングを簡素化することを目指すという。

各社独自の枠組みとの関係、シンガポールの業界プラットフォームで推進

3社はそれぞれ、Visaが「Trusted Agent Protocol」、Mastercardが「Verifiable Intent」、Ant Internationalが2026年4月に立ち上げた「Agentic Mobile Protocol(AMP)」と、独自のエージェント識別・認証の枠組みを既に持っている。KYAはこれらを置き換えるのではなく、相互に連携できるようにする共通基盤と位置付けられている。3社は今後、シンガポール金融管理局(MAS)が主導する業界プラットフォーム「BuildFin.ai」を通じて、この取り組みを具体化していく方針だ。

Visaでグローバル・グロース・プロダクト&戦略的パートナーシップを統括するルバイル・ビルワドカー氏(Rubail Birwadker)は「AIエージェントが人々の商品発見・購買に占める役割が大きくなる中で、信頼の仕組みもそれに合わせて拡張しなければならない」と述べた。Mastercardのチーフデジタルオフィサーであるパブロ・フーレ氏(Pablo Fourez)は「Know-Your-Agentフレームワーク間の相互運用性は、エージェンティックコマースを大規模に機能させる上で欠かせない」とコメント。Ant Internationalのチーフイノベーションオフィサーであるジャンミン・ヤン氏(Jiang-Ming Yang)も「カードネットワークとウォレットネットワークの間でKYAが相互運用できることは、決済パートナーの信頼を確保する上で重要だ」と述べている。

AIエージェント経由の消費支出、2030年に3〜5兆ドル規模との予測も

McKinsey QuantumBlackが2025年10月に公表したレポートでは、AIエージェントが2030年までに世界の消費者向け商取引のうち3兆〜5兆ドル規模を仲介するようになると予測されている。今回のKYAフレームワークは、こうした規模の取引をAIエージェント経由で安全に処理できるようにするための土台づくりと位置付けられる。

決済大手同士が競合関係にありながら共通の識別・認証基盤で足並みをそろえた点は、エージェンティックコマースの実用化に向けた一つの節目といえる。ただし、現時点では協業の合意段階にとどまり、具体的な技術仕様や導入スケジュールはこれからだ。各社が持つ独自プロトコルとの調整や、他の決済事業者・プラットフォームの参加をどこまで広げられるかが、今後の実効性を左右しそうだ。

情報源:

観察日:2026-09-15|Commerce × AI Observatory