
Anthropic、Accentureの評価者チームを社内常駐化 両社がそれぞれ5年で10億ドル超をAI安全性に投資
Anthropicは2026年9月18日、コンサルティング大手Accentureと提携し、Accenture傘下のAI専門部門「Faculty」から選抜した評価者チームをAnthropic社内に常駐させると発表した。評価者はAnthropic社員に匹敵するアクセス権限を持ち、新モデルの評価・レッドチーム演習、アライメント評価、モデルの安全対策の検証にあたる。両社はそれぞれ、今後5年間でこの取り組みに少なくとも10億ドルを投資する計画だとしている。AnthropicのCEOダリオ・アモデイ氏が9月12日に自身の名前で公表したエッセイ「We Must Pace the Frontier」で示した「第三者評価者の常駐化」という構想を、初めて具体的なパートナーシップとして実行に移した事例となる。
評価者は「社員並みのアクセス権」でモデルの訓練段階から検証
Anthropicによれば、常駐する評価者はモデルの訓練段階の監視、モデルの構築・展開に関する意思決定の追跡、Anthropic社員との直接対話が可能になるという。これは完成したモデルだけを事後的にチェックするのではなく、開発プロセス全体に評価者を関与させる狙いがある。
Accenture側でこの取り組みを主導するのは、同社が2026年3月に買収を完了したAI専門部門「Faculty」である。Facultyは政府・防衛・医療・インフラ分野での実績を持ち、英国の新型コロナウイルス対策における早期警戒システム開発に関わった経歴も持つ。FacultyのCEOでAccentureの最高技術責任者も務めるマーク・ワーナー氏は、「AIは、結果的に運良く安全になるのではなく、設計段階から安全であるべきだ」との考えをFaculty設立の理念として挙げている。AccentureのCEOジュリー・スウィート氏は、安全性の確保には高度な技術力と実社会での利用実態への理解の両方が必要だとの考えを示した。
アモデイ氏の提言を初めて具体化、投資規模は両社合計で20億ドル規模に
アモデイ氏は9月12日のエッセイで、AIの開発ペースを適切に保つための方策の一つとして「常駐評価者」の仕組みを提案していた。銀行の規制当局が行員同然のアクセス権を持って検査にあたる慣行になぞらえ、評価者には安全対策の実施状況の検証やインシデント報告に加え、都合の悪い所見であっても会社側が黒塗りできないようにすることが重要だと述べていた。今回のAccentureとの提携は、この構想が発表から日を置かずに具体的な形になった初めての事例となる。
投資額については、AnthropicとAccentureがそれぞれ少なくとも10億ドルを5年間で投じる計画であり、合算するとおよそ20億ドル規模の投資になる。Anthropic側は、こうした評価体制への資金は将来的には政府や複数社が拠出するプール型の枠組みが望ましいとの考えも示しており、今回の提携は非独占的なものだとしている。TechCrunchは、評価者のアクセス権限や情報共有のあり方について業界標準はまだ存在せず、今後手法が変化していく可能性があると指摘している。
情報源:
- Partnering with Accenture on embedded evaluation(Anthropic公式、2026年9月18日)
- Accenture and Anthropic Partner to Build Team of Embedded Evaluators at Anthropic(Accenture公式、2026年9月18日)
- Anthropic's first embedded evaluator is … Accenture?(TechCrunch、2026年9月18日)
- We Must Pace the Frontier(Dario Amodei、2026年9月12日)
観察日:2026-09-21|Commerce × AI Observatory
