
Anthropic、社内データでAIによる仕事の変化を分析した報告書を公表 技術職の採用に占める若手の比率は27%から9%に低下
Anthropicは10月16日、自社の雇用の記録やAIの利用ログなどをもとに、AIで社内の仕事がどう変わったかを分析した報告書「How employment is changing at Anthropic」を公表した。技術部門の社員に占める若手の比率は、2025年初めの21%から14%に下がった。技術職の採用に占める若手の比率は、27%から9%に下がっている。
若手の比率が下がり、技術部門の比率も下がった
報告書は、雇用の記録、AIの利用、成果の指標、従業員調査、社内のコミュニケーションの傾向、従業員のカレンダー、採用の判断の記録を分析した。Slackは、ある大きな部門が参加した公開チャンネルで、人間とエージェントが同じスレッドに参加したかどうかを分析している。従業員17人へのインタビューも加えた。
技術部門の社員に占める若手の比率は、2025年初めの21%から14%に下がった。技術職の採用に限ると、下がり方はさらに急で、27%から9%になった。報告書は、若手の基準を本文で示していない。
社員全体に占める技術部門の比率も、過去1年で61%から56%に下がった。報告書は、営業や財務、採用の人員の増加が技術職の採用を上回ったことに加え、ツールの進歩で、技術職でない社員が自分でソフトを作れるようになったことを理由に挙げている。
エージェントの作業時間は人間を上回り、コードのコミットは約5倍に
2026年3月に、自律型と対話型を合わせたエージェントの作業時間が、人間の作業時間を初めて上回った。従業員が直接指示した対話型のセッションに限ると、8月のエージェントの作業時間は、人間の約6倍になった。ただし、エージェントの作業時間は推論やツールの実行を含む稼働時間(30分を超える待機は除く)で、人間の作業時間は、人数に週40時間を掛けた想定値だ。
エンジニア1人あたりのコードのコミットは、半年前の約5倍だ。コードの質については、同じ社員の同じ月、同じコーディングのディレクトリで、エージェントが書いたコードと人間が書いたコードを比べたところ、あとから削除されたり、元に戻されたりした行の割合に差は見つからなかったと、報告書はしている。
待ち時間と会議が増えた
Claudeとのセッションの時間の約80%は、Claudeが人間の入力を待つ時間だった。報告書は、人間側の確認や指示の待ち時間が、常に作業の詰まりどころになっているとみている。カレンダーのデータでは、中央値の社員が会議にかける時間が、前年より20%増えた。
4月の社内調査で、AIが仕事に与えた影響を自由記述で尋ねたところ、27%が生産性の向上を挙げ、20%が、仕事が、自分で作業することからClaudeを管理することに変わったと書いた。
会社の取り組みと、報告書の留保
Anthropicは、社内の取り組みとして次の点を挙げている。社員が広く株式を持ち、会社の成功が自分の利益にもつながるようにすること。AIの影響を受けている仕事を継続的に把握する早期警戒の仕組み。そして、社内での配置転換だ。1年以上在籍する社員が毎月、部門をまたいで異動する確率は、2026年は2025年より50%高かった。
ただし報告書は、これらはいずれも、若手の採用の減少には直接対応しないと認めている。そのうえで、雇用主の取り組みに加えて、再訓練と所得の支援に関する、先を見据えた政府の政策が必要だとしている。また、同社の雇用の慣行には経済全体で再現できない部分が多いとして、他社が同じことを試みる際には慎重に進める必要があるとしている。
報告書は、分析の限界にも触れている。ツールの効果を調べる分析には限界がある。大きな新しいプロジェクトに着手する社員が、そのためにツールを使い始めたとすれば、コード量などの増加がツールによるものか、プロジェクトによるものか区別しにくくなる。報告書は、そのために推計に偏りが出ると認めている。なお、解雇や退職についての記述は本文になく、外部による検証も示されていない。
情報源:
- How employment is changing at Anthropic(Anthropic、2026年10月16日)
- How Employment is Changing at Anthropic(報告書PDF)(Anthropic)
- Anthropic says its workforce has become less junior and is spending more time in meetings(TechCrunch、2026年10月17日)
観察日:2026-10-18|Commerce × AI Observatory
